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性格の不一致で離婚できる?慰謝料請求についても弁護士が解説

性格の不一致を理由として離婚できる?慰謝料請求についても弁護士が解説

 

性格の不一致を理由として、慰謝料をもらって離婚したいというご相談は多いです。本記事では、性格の不一致や価値観の不一致で離婚はできるのか、慰謝料請求することはできるのかについて、横浜シティ法律事務所の弁護士が解説します。

 

 

性格の不一致は離婚の動機第1位

実は、夫婦が離婚を考える一番の動機は、性格の不一致です。

 

裁判所が公表している令和5年司法統計年報36ページの第19表)によれば、夫が申し立てた総数1万5192件の離婚調停のうち、性格の不一致を動機としたものが9103件で1位の件数です。

また、妻が申し立てた総数4万1652件の離婚調停のうち、性格の不一致を理由としたものは1万5835件で、こちらも1位の件数です。

 

 

性格の不一致の定義は?

夫婦といえど、物事に対する考え方は人それぞれです。

「子供の教育方針が合わない」「金銭感覚が合わない」「部屋の散らかり具合が我慢できない」など、夫婦生活を送るうえでお互いの物事に対する考え方や価値観が合わないことはあるでしょう。

そのような考え方の違いにより、夫婦生活を送ることに限界を感じて、離婚を考える場合、一般的に性格の不一致と呼ばれます。

 

実は性格の不一致というのは、法律上定義されているわけではない曖昧な表現です。言葉に言い表せられない感覚や感情を、性格の不一致と分類して離婚を求めることも多いため、性格の不一致を動機とした離婚件数が一番多いのも納得ができます。

 

 

性格の不一致で離婚できるか?

離婚を考える理由として一番多い性格の不一致ですが、それでは性格の不一致を理由として、離婚ができるのでしょうか。

 

離婚の種類は、基本的に協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3段階に分けられますので、段階別にお話しいたします。

 

協議離婚・調停離婚

協議離婚及び調停離婚は、当事者の離婚意思が合致すれば離婚することができます。

つまり、生活の不一致を理由として離婚を申し出て、相手方が離婚に応じれば、離婚をすることができます。

 

しかし、相手方が離婚に納得せず拒否し続ける場合には、協議離婚も調停離婚も成立しません。この場合、調停不成立後に訴訟を提起し、離婚を請求していくことになります。

 

裁判離婚

夫婦のどちらか一方が離婚を拒否して裁判になった場合ですが、家庭裁判所の判決で、裁判官から離婚を認めてもらうためには、法律上定められた以下のいずれかの法定離婚事由の存在が必要です(民法第770条1項)。

・配偶者の不貞

・配偶者からの悪意の遺棄

・配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

・その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

 

※以前は上記に加え「回復の見込みのない強度の精神病」が法定離婚事由として定められていましたが、令和6年5月に行われた法改正により同規定が削除され、同法改正は令和8年5月までに施行されることとなっています。

 

配偶者が離婚に応じてくれない場合には裁判で離婚を認めてもらう必要がありますが、その場合に性格の不一致を理由に離婚ができるかは、性格の不一致が上記「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかによる、ということになります。

 

 

婚姻を継続し難い重大な事由について

婚姻を継続し難い重大な事由とは、婚姻関係が破綻し、夫婦共同生活の回復の見込みがない状態のことです。

 

一般的に、婚姻関係が破綻しているか否かは、当事者双方に婚姻関係を修復する意思がないかという主観的要素と、客観的に見て婚姻関係を修復することが著しく困難かという客観的要素により判断されます。

 

仲の良い夫婦であっても、夫婦生活の中でお互いに不満を持ち、喧嘩をすることもあるでしょう。その度に仲直りをし、夫婦関係を改善していくことが多いかと思います。必ずしも話し合いをしなくとも、時間の経過によって自然とお互いを許し、喧嘩したことを忘れることも多いでしょう。

夫婦は多かれ少なかれお互いになんらかの不満を持っているものですが、そのような状態でも夫婦関係を継続していくことが通常ともいえます。

 

不倫やDVのようにどちらが悪いと断定しきれるものでもないため、性格の不一致があるとしても夫婦関係は継続することができ、夫婦共同生活が回復する見込みがないとまではいえないと裁判所は考えることが多いです。

そのため、結論として、性格の不一致のみを理由としては、裁判で離婚は認められる可能性は非常に低いといえます。

 

もっとも、性格の不一致を理由とした離婚が絶対に認められないわけではありません。

前述のとおり、性格の不一致のみを理由としては裁判で離婚を認めてもらうことは難しいですが、婚姻を継続し難い重大な事由があるかどうかは、夫婦間に存在する様々な事情を総合考慮して判断されます。

そのため、性格の不一致が一因となって配偶者から暴力を振るわれたり、モラハラをされたり、別居期間が長期間に及んでいるようなケースでは、それらの要素も総合考慮し、婚姻関係が破綻していると判断される場合があります。

 

 

性格の不一致で慰謝料は請求できる?

離婚訴訟で慰謝料の支払いが命じられるのは、離婚することについて相手方に責任がある場合(相手方が有責配偶者である場合)です。

分かりやすいところで例を挙げると、夫が不貞行為をし、そのことを理由として離婚する場合には、有責配偶者である夫に、妻への慰謝料支払義務が発生することとなります。

 

しかし、性格の不一致を理由とした離婚は、どちらが一方的に悪いというものではなく、相手方が有責配偶者とならないため、慰謝料請求は原則認められません(上記のとおり、そもそも性格の不一致のみを理由としては、通常、離婚請求自体が認められません。)。

 

ただし、離婚原因が性格の不一致のみでなく、不倫・浮気、DV、モラルハラスメントなど複合的な理由の場合には、それらの理由を考慮して慰謝料請求が認められる事例があります。

配偶者からのDVやモラルハラスメントで慰謝料を請求できるかについては、は以下のコラムで解説していますので、ご参照ください。

 

コラム:DVを理由に慰謝料請求ができるか

 

コラム:モラルハラスメントを理由に慰謝料請求ができるか

 

慰謝料は難しくても解決金を受け取れることもある

裁判の判決では慰謝料請求が認められないとしても、協議や調停、訴訟上の和解では、相手方と合意できれば、慰謝料の支払いを受けることができます。

 

しかし、裁判で認められないような金銭の支払いを合意することは通常困難です。

そもそも支払義務がないことに加え、慰謝料という言葉は支払う側が悪いことをしたという印象を与えることもあり、心理的に支払いをしたくないと考える方が多いためです。

 

もっとも、実務上は、解決金という名目で、離婚に際して配偶者から金銭の支払いを受けることがあります。

解決金とは、金銭の支払い名目が複数ある場合に、名目ごとに細かく金額を決めるのではなく、総額としての支払い金額を決めたり、離婚協議の終結に時間がかかりそうな場合に、早期解決のために支払われたり、離婚を拒否している配偶者の離婚合意を取り付けるために、手切れ金のように支払ったりすることがある金銭です。

 

慰謝料を支払うか否かや、その他の離婚条件の調整などで離婚協議が長引くことがありますが、離婚協議を長期間続けるのは精神的な負荷が大きく、できる限り早期に解決したいと考える方が多いです。

そこで、解決金としてある程度のお金を支払い、早期解決を望むことがあります。

そのような場合等には、慰謝料としての支払いを受けられないとしても、解決金として一定のお金を支払ってもらったうえで離婚することがあるのです。

 

弁護士に依頼する必要はある?

裁判では基本的に慰謝料の支払いを受けられないとの説明を読んで、弁護士に相談や依頼する必要まではないのではないか、と考えられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

しかし、性格の不一致を理由とした離婚に限らず、離婚事件全体について、弁護士に相談や依頼することには様々なメリットがあります。

 

法的な見解を踏まえたアドバイスがもらえる

離婚するにあたっては、そもそも離婚できるか否か、慰謝料の支払いが認められるか否かの他にも、婚姻費用、財産分与、子供がいれば親権、面会交流、養育費など、解決すべき問題が数多くあります。

それぞれに難しい法律上の論点が数多くあり、ご自身で場当たり的な判断をすると、大幅に不利な内容で離婚することになったり、本来円満に離婚できたのに大きく揉めてしまったりすることにもなりかねません。弁護士からのアドバイスを受け、ご自身が現在法的にはどのような状況にあるのかを正確に把握したうえで判断することが大切です。

また、法的な主張が認められるためには、その前提として証拠が重要となり、たとえば書類やメール、LINE、録音、録画、写真など、ご自身の主張をするためにどのような証拠を集めるべきか、分からない方も多いかと思います。

ご自身の主張が認められるかどうか、そのためにはどのような証拠が必要かなど、少なくとも一度は弁護士に相談し、法的なアドバイスを受けることをおすすめします。

 

相手方との離婚協議を弁護士に任せられる

弁護士に離婚協議を任せれば、弁護士が代理人として相手方配偶者と連絡を取り合い、離婚に関する話し合いを進めていきます。

性格の不一致を理由に離婚を考える方の多くは、相手方と直接連絡を取り合うことに大きなストレスを感じていることと思います。

実際に、当事務所にご相談いただく方から、配偶者と直接離婚の話をするのが大きなストレスなため、離婚協議を任せたいというご依頼を数多くいただいております。

当事者同士の協議では感情が大きくなりすぎるため、時には合理的な判断ができなくなってしまうこともあります。上記のとおり離婚には解決すべき問題が複数あり、それらに的確に対応するためには、当事者とは異なる目線からの冷静な判断が有用です。また、法律上の問題には、裁判になった場合にどのような判断がされるかといった見通しや、いわゆる相場のようなものもあります。裁判での見通しを踏まえたうえでの交渉を行うことができるというのも、弁護士に離婚協議を依頼する大きなメリットです。

 

なお、当事務所は依頼者様のご意向を尊重するために、随時依頼者様と連絡を取り合い、ご意向を伺いながら離婚協議を進めていきます。依頼者様のご意向に反して弁護士が独断で相手方との交渉を進行させてしまうということはないため、ご安心ください。

 

ひとりで抱え込まなくてすむ

離婚問題は非常にセンシティブなものです。友人はもちろん、家族にも詳細な事情を話したくないという方はたくさんいらっしゃいます。また、信頼していた相談相手が面白半分で他の人に話をしてしまう可能性もゼロではありません。誰かに相談したいのに相談し辛いというのが離婚事件の大きなジレンマであり、精神的ストレスの大きな原因ともいえます。

弁護士には守秘義務がありますから、許可なく、お話しいただいた内容を外部に漏らすことはありません(たとえば、もしご両親やご紹介者からの問い合わせがあっても、依頼者様本人の承諾がなければ、情報は開示しません。)。

周囲に相談できない悩みでも、弁護士にお話しいただければ、一人で抱え込まなくてすみます。お話しいただくことで、大きな精神的ストレスから解放される手助けにもなるかと思います。より良い解決を目指すためには可能な限り全ての事実関係を弁護士にお伝えいただいた方がよろしいですから、「こんなこと弁護士に話してよいのか」など悩まずに是非お話しを聴かせてください。

 

 

おわりに

離婚できるか否か、慰謝料請求ができるか否かというのは、法律上の判断が必要になる非常に難しい問題です。

その判断のためには、離婚事件に関する過去の裁判例の分析を行うなど、離婚事件に精通している必要があります。

また、仮に今すぐに離婚をしないとしても、離婚するためにはどのような方法があるのか、離婚に向けてどのような準備をすればよいのか、離婚成立まではどのような流れなのかなど、弁護士からアドバイスをもらうのもよいでしょう。

 

横浜シティ法律事務所の弁護士は、離婚問題に力を入れており、日々研鑽を積んでおります。

初回相談は60分無料ですので、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

山本 新一郎弁護士 (神奈川県弁護士会所属)

Shinichiro Yamamoto

弁護士の山本新一郎と申します。
私は江戸時代より代々医師を生業としてきた家系に生まれ、幼い頃から病気に悩む方々に対して優しい言葉をかけ、懸命に治療をする父や祖父の姿を見て育ちました。
私が弁護士を志した原点もここにあり、法的トラブルに巻き込まれてしまった方々の負担を少しでも軽くしたいと常に考えております。
病気と同じく、法的トラブルも早めにご相談いただければダメージなく解決できるものです。
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