経営者のための離婚相談
会社経営者の方は、配偶者が従業員や役員となっているケースや、配偶者が会社の株式を持っているケースがあり、離婚する際にトラブルとなりやすいです。
こうしたケースでは、離婚問題が会社経営に影響を与えないよう、慎重に離婚協議を進める必要があります。
また、会社経営者の方は収入が高額である方が多く、また会社名義の財産と個人名義の財産が混在していたりすることが多く、財産分与をめぐってトラブルになるケースも多いです。
さらに、収入に波がある場合や、収入を容易に変更できる場合、婚姻費用(結婚中の生活費)や養育費の算定にあたって、収入額が争いになることも少なくありません。
配偶者が会社の従業員である場合
会社経営者の配偶者が、会社の従業員となっている場合には、離婚後にどうするのか事前に決めておく必要があります。
離婚を理由に元配偶者を解雇することはできません。
従業員を解雇するには合理性が必要とされており(労働契約法16条)、離婚をしたことをもって解雇をする合理的な理由があるとはいえないからです。
無理に元配偶者を解雇しようとすれば、解雇の無効を争われたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。
したがって、離婚後に同じ会社に務めることを避けたい場合には離婚協議のときから話し合いをしておくことが必要となります。
配偶者が役員である場合
任期の途中で役員を解任するためには株主総会の解任決議が必要となります(会社法339条1項)。
解任決議には一定数以上の株式を保有する株主の賛成が必要となるところ、配偶者が株主である場合には財産分与の問題とも絡んで複雑な問題が発生することがあります。
また、離婚だけを理由として解任の請求を行えば損害賠償請求を受ける可能性もあります。
したがって、配偶者が役員である場合、離婚協議のときから、今後の会社経営のことを含めて話し合いを詰めておく必要があるといえます。
財産分与
会社名義の財産について
会社の財産と個人の財産は異なるため、財産分与の対象外です。
ただし、会社名義の財産であったとしても、その実質としては個人名義の財産と判断される場合には財産分与の対象となる可能性があります。
株式について
会社の株式は個人が保有する財産のため、財産分与の対象となります。
株式は、会社の支配権に直結するものですから、離婚をするときにどのように分けるかをきちんと話して決めておかないと、離婚後に会社の経営に関わるトラブルが生じることも予想されます。
そのため、株式をどうするかについては、離婚の前にきちんと協議を重ねて決めておくことが必要です。
財産分与の割合について
財産分与の割合は夫婦で半分ずつとすることが原則です。
これは配偶者の片方が専業主婦(専業主夫)である場合にも同様です。
もっとも、会社経営者の方の場合、専門性や特殊な能力・技能により高額の資産を形成したといえる場合も多く、財産形成に対する配偶者の寄与度は2分の1とはいえないと判断されることもあります。
そのような場合には、上記原則を修正して、2分の1を超える割合の財産の分与が認められることもあります。
養育費・婚姻費用をめぐる問題
婚姻費用(結婚中の生活費)や養育費は、双方の収入をもとに算定します。
しかし、会社経営者の方の中には、収入に大きな波がある場合も少なくありません。
このような場合、婚姻費用や養育費を算定するにあたって、前年の収入のみで決めてしまうと不平等な結果となりかねません。
単純に数年分の収入の平均をとる場合もありますが、経営状況の変化を具体的に主張して、今後の事業の見込みから、収入を判断する必要がある場合もあります。
また、収入を容易に変更できる場合、養育費や婚姻費用の金額を下げることだけを目的に収入を敢えて減らすような人もいます。
このような場合には、その不合理性をしっかりと追及していく必要があります。
まとめ
上記のように、会社経営者やその配偶者の方の離婚には、専門的な知識が不可欠となるケースが多くあります。
また、配偶者も会社経営に関わっている場合には、離婚問題が会社の経営に大きな影響を及ぼすおそれがあります。
当事者間での話し合いが難航する場合は、交渉の窓口を弁護士とした方が話し合いがスムーズに進みます。
そのため、まずは一度離婚に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめいたします。